「これが最後の仕事になる」の一文から始まる、24名の作家によって書かれたショートストーリー集を読んだ。
講談社の会員制サービスMRC(メフィストリーダーズクラブ)でWeb連載されていた企画の書籍化第3弾だ。
好みの問題か、はたまた読んだ時の心境か、後半になるほど面白くなってきた気がする。でも今ぱらぱらとめくりなおしてみると、最初のSFチックなストーリーも、次のイヤミス系も、後半の作品となんら遜色ない。気分かー。
いちばんを決めるのは難しいけれど、パッと浮かぶのは夕木春央の「夕血革命」。登場人物の名前的に日本ではない国が舞台で、内戦によって命が今にも失われそうになっている友人から手紙が届く。その手紙にて、おぞましい出来事がほのめかされている。
後味的にゾゾゾ…とするものが好みだ。グロテスクさで言えば、真梨幸子が彼女らしさ全開でおぇっとなったなあ。
献鹿狸太朗(けんしか・まみたろう)という人は初めて知ったし読んだのだけど、「流星」という作品はなんだか綺麗という印象を抱いた。
ヒステリー気味の動画配信者に送られてくるコメントを検閲する男の話で、微塵も美しさのない歪んだ現代の物語なのだけど。こういう感じ方、世界の広がり方もあるのかと、新しい発見。
やはりひとつひとつが短いから、のめり込むほど面白い! という感じではなかったけれど、また日を改めてベッドサイドストーリーとしてちょこちょこ読んでいきたい1冊だった。
第1弾(黒猫を飼い始めた)、第2弾(嘘をついたのは、初めてだった)も購入して読んでみたい。カバーイラストが可愛くて揃えたいというのもある。