しとしと雨の月曜日。
夢を見て、ちょっと悲しい気持ちで目覚めたけれど、遠くで水を引きずる車の音に耳を傾けながらキーボードを打っている今は、心穏やか。
昨日、しみじみ思ったこと。雑務って煩悩と同じくらい次から次に湧くよね。
すっきり片付けて、気持ちよく本を読みだしたいって思うのに、そんな瞬間って絶対に来ないと悟った。
やりたいことをする時間が削られていく苛立ちとか焦燥にエネルギーを奪われて、そのやりたかったことをする気力も減ってきてしまう。
完ぺきよりも、今の自分を満たす時間を優先するほうが、変に感情が泡立つこともなく、小さく幸せでいられるんだろう。
うんざりするほどの家事の山に挑むのをやめて、「今日読み切るんだ!」と決めていた本にとりかかる。
クレマンス・ミシャロン、高山真由美訳『寡黙な同居人』(ハヤカワ・ミステリ文庫)。読みかけのまま数日積んでいたのだけど、二周目確定! 今年のマイベスト10に入りそう。
主人公は連続殺人犯に監禁されている“レイチェル”。本名ではなく、犯人に与えられた名前である。
犯人は隣人から愛される善人で、幼きセシリアの良き父親でもある。
レイチェル、セシリア、殺人犯(セシリアの父親)の奇妙な共同生活が始まり、殺人犯に恋する女性が気持ちを暴走させてレイチェルと鉢合わせてしまうという歪な歯車が動き出しーー。
実際に起こった事件に基づく、と言われても納得してしまうリアリティで、クライマックスだけもう数回読み返してしまった。レイチェルが主人公なのだけど、セシリアと殺人犯に恋をするエミリーの視点も加わり、3人の女の物語ともとれる構成だ。
特に胸がざわつくのが、エミリーのターン。好きな男の家に無断で入ってくる(あらすじに記載あり)って時点ですでに度を超しているけれども、人を好きになって狂おしくなる気持ちは誰にでも覚えがあると思う。
著者のクレマンス・ミシャロンは、2023年に本作でデビューしたというから、次作以降もとても楽しみだ。