毎週お待ちかねの土曜日。最低限の雑務をちゃちゃっと済ませ、読みかけの『禁忌の子』(山口未桜/東京創元社)に取り掛かる。
救急医の主人公のもとに搬送されてきた溺死体が自分と瓜二つだった、という日常では起こり難い謎から始まる医療ミステリー。
作者が現役医師というのもあって医療的な知識が深く入り込んだ物語ながら、とても読みやすかった。これがストーリーテリングのチカラか。
無理に一気に読み切るつもりはなかったんだけど、後半に入ると途中で止めるほうが無理な話だった。
どう感じた、と語ることすらネタバレになってしまいそうなセンシティブな内容で、摩訶不思議な謎から最後は人間について深く考えさせられる余韻。途中何度か泣いた。
ホームズとワトソン役の名探偵バディものというのも外せないポイント。個人的にはこっちに興味をそそられて手に取ってみたのだけど、美貌で非凡な医師探偵は今後ますますの活躍が期待される。続編も決定しているし!
午前中いっぱい『禁忌の子』で充実し、午後はM・ナイト・シャマラン監督の最新作映画『トラップ』を観に行く。予告編を見たときからずっと楽しみにしていた作品!
主人公は良き父親で、娘の大好きなアーティストのライブに2人で出かける。会場に入ると、かなりの警察がいてものものしい雰囲気。
主人公は仲良くなったスタッフに理由を尋ねてみると、ライブ会場そのものがシリアルキラーを捕まえるための“トラップ”なのだという。そしてそのシリアルキラーというのが、主人公でーー。
主人公があらすじ通り、期待通りの魅力的なサイコパスぶり。監督の娘サレカ・シャマラン演じる歌姫がまた最高だった。
本当のライブ映像を見ているような高揚感もあって、ミステリアスな曲調も好みドンピシャリ。サントラCD出たら絶対買うぞ。
『トラップ』のストーリーですぐ連想したのが、『寡黙な同居人』(クレマンス・ミシャロン、高山真由美訳/ハヤカワ・ミステリ文庫)。
隣人から愛される善人で、幼きセシリアの良き父親でもある男が、実は連続殺人鬼。その男に監禁中の“レイチェル”が主人公の長編ミステリー。
なまじ魅力的な男だけに、熱を上げてしまった女性が暴走して、“レイチェル”を見つけてしまいーー?
最近改めて思ったのだけど、私はこの手のシリアルキラーものが好きだな。異常心理とか犯罪心理とか。『禁忌の子』はちょっと違うけど、瓜二つの溺死体というオカルティックな導入が好き。
次は満を持して湊かなえの『人間標本』(KADOKAWA)を手に取ろうと思ったのだけど、書店で目に飛び込んできた『愚か者の島』(乾緑郎/祥伝社文庫)に決める。
医師と不倫相手が移住した無人島には、殺人犯が潜んでいた。さらにさまざまな事情を抱えた人々が上陸してきて、理想郷を求めたはずの場所が「愚か者の島」と化していく。
孤島ミステリーも大っ好きなのよ。さっそく読む。