恩田陸作品マイベスト3…に絞れるはずもなく推し8冊etc.

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YouTubeで文芸評論家・三宅香帆(敬称略)の『【天才作家】恩田陸ベストアルバムをつくろう!!【独断と偏見】』を見た。

多作な恩田陸のおすすめ本リストを作るという内容だ。


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恩田陸好きからすると分かりみが深すぎて、「もし自分だったら……」と考えられずにはいられなかった。

今日のブログでライトめに3選で書こうと思っていたけど、まあ絞り切れるはずもなく、すごく悩んで8冊(しれっと9冊になった) でも本当はもっとあるんだ!! と勝手に悔しくなりながら選書した。

冬、寮に居残る男子高校生たちの青春小説『ネバーランド

「自分が選ぶなら」で唯一、絶対に外せないと思っていたのが『ネバーランド』。恩田陸といわず、小説というジャンルでマイベストな1冊。

冬休み、寮に残った4人の男子高校生の数日間を描く青春小説で、それぞれが結構重たい悩みを抱えている。

負けた者がルールに従って秘密を告白するゲームを始めたことで、共に過ごしたのはわずかばかりの時間ながら不穏で濃密、そして深まる友情にグッとくるんだなあ。

真っすぐな少年と美少年のコンビSF『ロミオとロミオは永遠に』

ネバーランド』に続き、少年たちの友情物語で外せないのが『ロミオとロミオは永遠に』。もうタイトルが最高。

近未来の荒廃した日本が舞台で、厳しい選抜試験を経て「大東京学園」に入学した主人公アキラと、彼と深い友情で結ばれるシゲルの物語。コミカルで毒気のあるディストピアSFだ。

アキラは真っすぐな少年でいかにも主人公キャラ。シゲルはもんのすごい美形。このコンビが好きなら読んで損はない。

山奥の洋館、招かれざる客は誰か?『訪問者』

山奥の洋館に集まった一族。「訪問者に気を付けろ」という警告文。次々と訪れる客人。“訪問者”とは誰なのか?

舞台で見ても面白そうな招かれざる客探し。閉ざされた空間の緊迫した人間模様って、どうしてこうもワクワクするんでしょう。

女性たちのドライな心理戦『木曜組曲

訪問者を好きで挙げるなら、こっちも外せない。

作家の一周忌に、5人の女性が小さな洋館に集う。囲んだ食卓が華やいだのも束の間、作家の死の真相を探り合う心理戦に繋がっていく。

女性たちの心理戦でも、ドロッとせずドライな空気感は恩田陸ならでは。ざらっとして淡々と読めるのが好き。

ジャンル:恩田陸『夏の名残りの薔薇』

山奥のクラシックホテルで、毎年開かれる三姉妹主催のパーティー。視点が変わることに、微妙に出来事や解釈が異なっていく「藪の中」形式と、虚構が交錯する不思議な長編。

正直よく分からないけれど、なぜか惹かれる。ジャンルでいうと恩田陸というほかない。

つまらなかったら激怒したいから本は買う『小説以外』

その名の通り、小説以外のエッセイ集。動画で三宅氏も言っていたけど、恩田陸はとにかくエッセイも面白いんだ!!! 定期的に読み返したくなる。

読書家らしい金言として「つまらない本には激怒したい」という言葉に出会ったのもこの1冊。身銭を切らないと怒るに怒れない(だから買って読む)という言葉に触発されて、自分もなるべく本は買おうと考えるようになった。

旅行に連れていきたいエッセイ『隅の風景』

旅行に持っていきたいエッセイ集。ロンドンやチェコ、スペインの紀行文で、風景から物語が浮かび上がってくる瞬間を切り取った文章はファン垂涎もの。

ビールを飲まずにはいられない『酩酊混乱紀行 『恐怖の報酬』日記』

ビールが飲みたくなるエッセイ集。飛行機嫌いの恩田陸がイギリスやアイルランドへ取材旅行に挑む前日譚から書き始めているため「恐怖の報酬」日記。

こちらも旅先で得たインスピレーションや小説のアイディアがどのように生まれるかに触れられていて貴重な1冊。後半は日本各地のビール工場を見学したときの内容で、とにかくビール好きにはたまらない。

(次の休日、ビール飲みながら読みなおそうかな。えっ、最高じゃん。)

呪われた小説の関係者が集う豪華クルーズ船『鈍色幻視行』

散々悩んだ8冊を過ぎ、忘れちゃいけなかった『鈍色幻視行』。2023年発売の比較的新しい作品で、情報解禁されたときから心待ちにしていた1冊。

舞台は豪華クルーズ。実写化しようとすると死人が出て頓挫してしまう“呪われた小説”の関係者が集結していて、主人公が取材をしていくミステリー。あらすじだけでもう面白そうで、実際に読んでも大満足だった。

それから、

六番目の小夜子』『球形の季節』『禁じられた楽園』『三月は深き紅の淵を』『麦の海に沈む果実』『薔薇の中の蛇』『EPITAPH東京』『私の家では何も起こらない』『歩道橋シネマ』……好きな作品、まだまだありすぎる。

ひとつ言えるのは、多作な作家を好きになるってなんて幸せなことだろう!