
「行動することが何より大切」というのは分かっていても、考えたり計画を立てたりするときの興奮に満足して終わってしまう。
小さな一歩でいいから行動に踏み出すヒントが欲しくて手に取った1冊が、枡野俊明の『考える前に動く習慣』。
禅的視点から、いい習慣の作り方を紹介している。
理屈っぽい人に限って実行力がない
禅では何より「行動」を重んじている。
どちらかというと「静」のイメージがあって意外だったのだけど、修行の基本は、理屈抜きで同じことを繰り返すことで、「面倒だな…嫌だな…」という気持ちが先立つ前に動くのだという。
もし理屈ばっかりで実行力がないなら、本当は動きたくないから、やたらと理由を求めているのかもしれない。戒めとして、ちょっと耳に痛かった言葉を引用しておく。
「できない」という言葉は、私には「やりたくない」に聞こえます。
「なぜやるのか(理由)」は、自分で動いていくなかでしか見つからない。
ダイエットでも、貯金でも、片付けでも、理屈抜きで動いて、結果としてついてくる心地よさを「体感」することで、ようやく良い習慣として身につくものだ。
面倒なことに照準を合わせてまず呼吸
「面倒」という思いに囚われる前にまず動く。後回しにせず、すぐにやるコツが「丁寧にする」「呼吸を整える」というのは、いかにも禅的視点だ。
“気分”に振り回されるのは大いなる無駄で、面倒か・面倒じゃないかという分別も、それが心に入り込む隙を作らなければ、どんなことでも全力で取り組める。
「随所作主 立処皆真(ずいしょにしゅとなれば りょしょみなしんなり)」という言葉が印象的だった。
どんな場所であっても、何事に対しても、主となって懸命に取り組めば、そこに自分の真実の姿がある、という意味だ。
たとえば仕事や家事。「やらされている」という思いが強いと、負の感情が出やすく疲弊しやすい。何事も考えるよりまず「主体的に動く」という意識が、良い習慣や人生に繋がっていくのだろう。
苦手意識のあるものを習慣化するコツ
「面倒」よりも曲者が、「苦手意識」だ。片付けや早起きなど、いくら良いと言われる習慣でも、苦手意識が強いとあれこれ考えて二の足を踏んでしまう。
その解決策は、期限付きではじめてみること。期限がはっきりとしていればハードルは低くなり、実際にやってみてその良さを得心すれば、習慣化の第一歩を踏み出せたことになる。
一方で、ぜひとも断ち切りたい悪習慣が「忙しい」「疲れた」という口癖。
ネガティブなワードであるのと同時に、人に対する一種のアピールとして使われがちな言葉だ。
しかし、「忙しい」「疲れた」という言葉で自分の存在をアピールすることと、存在感を放つことは違う。
本当にできる人は自分をアピールすることなく(その必要もなく)淡々とやるべきことをやっている。
負の言葉を使ったアピールはむしろ、自分の存在感のなさを取り繕うとしている表れなのだ。
本書は、「まず動き、繰り返し、良い習慣を作る」ための指南書だ。“読後ハイ”を差し引いても、この数日でため込んでいたタスクをかなり捌けた。
考えるくらいなら、まずやってみる。できない理由より、できる最初の一歩を選んでいきたい。
