金曜日。今週の仕事も、あと1日。
今晩は夫不在につき、ひとり晩酌用にハイボール缶と発酵キムチ、ヘルシー系の冷凍からあげを買ってきた。キッチンに立たない気満々である。
最近、じぶんでビックリしてしまうことがあった。
夫から「この日とその日は夕飯いらない」と事前に伝えられていて、ふんふんご飯いらないのか(作らなくていいのね、ラッキー)なんて考えていたら、まさかじぶんの夕飯のことをすっかり忘れていたのである。わたしのごはんは!
ひとりの夜になった途端、食がおざなりになるのは本当にかなしい。
どちらかといえば、ひとりで暮らしているとき、料理は好きなほうだった。
それはSNSにアップして承認欲求を満たすという面もあったけれど、テキパキと料理ができる人への憧れもあったと思う。もちろん、“素敵な奥さん”というものにも。
いつか自分も学校の制服を着るようになって、卒業したらOLというものになって、誰かと恋に落ちて結婚する。いろいろと期待を裏切って申し訳ないけれど、そういうものだと信じて疑わなかったかつてのじぶんよ、ずっとそのままでいてほしい。
数日前に筒井康隆原作、長塚京三主演の映画『敵』を見てきた。役所広司のパーフェクトデイズに近いけど、もっとシビア系というふんわりとした前情報だけで観て、現実と虚構が行き交う内容は、正直どこまで理解できたか自信はない。
しかしエンドロールが流れるころ、一番最初に感じたのは「やっぱり映画っていいな」という満ち足りた気持ちだった。
話は逸れたけれど、その主人公の台詞でずっと魚の骨のように刺さり続けているものがあって、悲しげな表情でぽつり「どうしてそんなことを言うんだよ、いい思い出だったのに」。
同じ出来事でも、人にとって切り取り方は違うから、今さら取り返しのつかない過ちを、知らないだけでたくさん、たくさん重ねているのかもしれない。
ごめんって。推定5歳くらいのじぶん。明日はちゃんとごはん、作るからさ。