「30日」で脳が変われるなら、残り少ない2025年内に私も良くなれるのか?

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あっという間に年末が近づいている。

普段なら「30日で変わる!」といった書籍タイトルに胡散臭さを感じてしまうのだけど、もし残りわずかな2025年のうちに何かが変われるとしたら?

名もなき焦燥感に背中をおされて、えいままよ! と『30日で人生がうまくいきだす脳の習慣』を買って読んでみた。

新しい習慣を身につけるなら期間限定で取り組むのが効果的

著者は、アメリカの大学院や研究所で脳について研究していた脳科学者医学博士。「3分脳磨き」というポッドキャストを現在進行形で配信していて、700以上のエピソードがある。

本書はこのポッドキャストをもとに作成されていて、ウェルビーイング(幸せ)な脳を育てる方法=脳磨きが紹介された1冊だ。

書籍タイトルにある「30日」。具体的な日数を見せて購買意欲をそそるテクニックかと思いきや、新しい習慣を身につけるには期間限定で取り組むのが効果的、という脳科学的な根拠も示されていて好感が持てた。

あいさつはポジティブに目が向くようになる脳トレ

脳磨きの基本は、「感謝を意識して過ごす」「利他の気持ちを大切にする」etc.こと。

「自己超越」という考え方があって、自分のエゴを超え、まわりの人への思いやりや共感の心を持つことが、うつを予防する薬にもなる。

例えば中国の大学で行われた研究によると、人のために献血をしたグループと自分の好きなように過ごしたグループでは、与えられた負荷を耐える力が1.6倍違ったという。他人のために生きることが、自分も脳も強くするわけだ。

そんなロジックのなかで、あいさつは気軽にできる脳のトレーニング。会話のないところからパッと言葉を発するあいさつは、ブローカ言語野が活性化し、ポジティブな情報を受け取りやすくする。

店のレジで会計をしてくれたスタッフに「ありがとう」と感謝の言葉をかけるのも同じく効果的。

マインドフルネスにお皿を洗うのもトレーニングになる

アメリカの大学がおこなった研究では、「ただ皿を洗う」グループと、「マインドフルネス(今、ここ)を意識して皿を洗う」グループを比較してみると、後者のほうが心が落ち着いて前向きな気持ちになった。

これはフロー状態(リラックスした集中状態)の入り口で、普段の雑務を「ただこなす」「やらなければならない」タスクと思わず、皿洗いなら皿洗いだけに意識を集中してみる=マインドフルネスに取り組んでみる。

すると、瞑想の習慣と同じように、シングルタスクに集中する練習ができ、脳を磨けるというわけだ。

Awe体験で人生の目的が腑に落ちる

Awe(オウ)体験というのは、大自然や並大抵ではマネできない利他行為に触れて、心が震えるような感動体験のこと。

Awe体験は「自分がいかにちっぽけな存在か」ということに気づかせてくれて、他人に対する思いやりが増したり、謙虚になれたり、怒りや痛みなど自分が執着しているものを手放すきっかけにもなる。

強烈なAwe体験を前にして「人生の目的が腑に落ちる」という考え方は、本の中で紹介されているエピソードも込みで納得できた。

正直に言うと、私は引きこもりだし、人付き合いも極力避けたいタイプだ。本書を読んでも、「じゃあ人と交流しよう」とは思えないし、人にあいさつする機会もそうそうない(引きこもりだから……)。

けれども、読んでよかったと思えるのは、それが真実らしくても無理強いはしないところだ。著者の人柄か、とても優しい雰囲気のある1冊だった。

人にはネガティブバイアスがあって、ポジティブよりもネガティブに囚われやすいし、苦しくても無理してがんばるのは脳の健康を損ねるだけ。脳磨きの型に、自分を無理に押し込めるのは違う、というところも込みで理解した。

例えば、旅先で美しい景色に触れる、感動的な物語を読むというのもAwe体験だ。自分ではない何かに触れれば感動も、そこから生まれる感謝もある。

自分なりに、ウェルビーイングな脳を目指していけばいい。そう思えるようになるまで、なんと「1日」もかからなかった。

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