感情を紙に書きだすのはメンタルヘルス的によい、という話はよく聞くけれど、実際問題、何がどう良いの?
先日読み返したメンタリストDaiGoの『自分を操る超集中力』のなかで、その疑問を科学的に解説している項目があった。
「緊張で力が出せない」「目の前のことに集中できない」は脳のリソース不足
試験の本番やプレゼンの直前、緊張しすぎて頭が真っ白になったり、集中しようとしても余計なことが気になってしまったり……。
これは単なる気持ちの問題ではなく、「脳のリソース不足」が原因。脳には「ワーキングメモリ」という、一時的に情報を処理するための作業スペースがあって、ここが不足すると、目の前のことに集中できなくなる。
緊張や不安があると、その情報がワーキングメモリを圧迫してしまい、本来やるべきことに使うべき脳のリソースが奪われてしまう。その結果、思考が散らかって集中力が落ち、パフォーマンスが低下するわけだ。
シカゴ大学の研究結果「不安を書きだすとパフォーマンスが上がる」
『自分を操る超集中力』の中で紹介されていたのが、シカゴ大学の心理学者シアン・バイロック教授の研究。
この研究によると、プレッシャーのかかる試験の直前に、不安を書きだす時間を設けたグループは、そうでないグループよりも成績が良かったという。
その理由が、書きだすことで脳のワーキングメモリに余裕ができたから。
不安を抱えたままだと、脳内のリソースがその不安に占拠されてしまい、目の前のタスクに十分な集中力を発揮できなくなる。
けれど、一度紙に書き出してしまえば、脳は「これは外に出したから、もう気にしなくていい」と判断し、空いたリソースを本来の作業に回せるようになる。
「不安を書くだけ」で頭がスッキリして集中力アップ
つまり、不安や緊張を紙に書き出すことで、脳の作業スペースを確保し、集中力を最大限に発揮できる。
例えば、試験や大事なプレゼンの前、やることが多すぎて頭がパンクしそうなとき、紙とペンを用意して、今気になっていること、どうしようもない不安をすべて書く。とにかく頭の外に出す。
すると使える脳のリソースが増えるから、感情を紙に書きだすのはよい、ということ。
思えば、日課のモーニングページも“脳の排水”といって、頭の中を空っぽにするイメージで思い浮かんだことをそのまま書く。
朝一番に頭の中を空っぽにして、使える脳の容量を増やす、と考えると、なかなか悪くない習慣だ。