創造的に生きるために生み出されたツールで、毎朝書く習慣である「モーニングページ」。
このnoteは私がモーニングページ歴1年半くらいの頃に書いたもので、有り難いことに多くの方に読んでもらい続けている。
何度か追記したり、関連記事を作ったりもして書き尽くした感はあるけれど、継続歴が長くなったこのタイミングで、改めて「モーニングページとは」という紹介記事を書いてみようと思った。
モーニングページは頭を空っぽにすること
モーニングページとは、朝手書きする習慣のことだ。
作家や脚本家としてジャンルレスに活躍するアーティスト、ジュリア・キャメロンが創造性を取り戻すツールとして提唱し、全米ロングセラー『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』(原題:The Artist's Way)をはじめとした彼女の複数の著書で紹介されている。
モーニング・ページとはなんだろう? ひと言でいうなら、三ページほどの手書きの文章であり、意識の流れをありのままにつづったものだ。(中略)もっとくだけた言い方をするなら、それは「脳の排水」と呼んでもいいかもしれない。脳の中を掃除することが目的だからである。
『新版 ずっとやりたかったことを、やりなさい。』(サンマーク出版)
モーニングページの目的は、簡単にいうと「脳のなかを掃除すること」だ。
頭のなかに溜まったモヤモヤを吐き出して掃除するイメージで、思い浮かんだことをひたすら手を動かして書き留める。
大切なのは、書くといっても考えないこと。理性脳を働かせず、頭を空っぽにするイメージだ。
モーニングページとは、心のおもむくまま、まったく飾らず、毎朝手書きで三ページ書くことだ。心に浮かんだことはすべて書く。くだらないこと、退屈なこと、腹の立つこと、愉快なこと、ひらめいたこと、内省的なこと、何を書いても間違いではない。ただノートの上で手を動かし、心に浮かぶことはすべて書きだす。「父の咳はひどくなっている」「猫のトイレ砂を買い忘れた」「昨日のミーティングでのやりとりは気にくわない」など、本当に何でもいい。
『あなたも作家になろう: 書くことは、心の声に耳を澄ませることだから』(風雲舎)
「書くことが思い浮かばない」と思えば、それをそのまま書く。
人には言えない本音も、ドロドロとした気持ちも、どんなことを書いてもいい。
モーニングページは「絶対に誰にも見せない」が原則で、自分自身が安心して素直になれる場所なのだ。
狂気の初モーニングページ
見返すたびに自分でゾッとしてしまう初めてのモーニングページ。
隙間なくギッシリ書かれている。正直片ページに1時間はかかった。モーニングページは「1日3ページ」という基本があって、これを毎日続けるなんて正気の沙汰ではない。
直近のモーニングページ
お気に入りの万年筆でさらさらと殴り書きしている。文字は大きく、余白たっぷり。
思うのだが、ページの余白は心に余裕があるということでもある。頭にモヤモヤが溜まっているときほど、文字数が増えてページが埋め尽くされる傾向だ。
モーニングページのノートサイズと書くページ数
モーニングページのバイブルともいえる『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』には、いくつかのルールが記載されている。
- A4ノートを使用する
- 1日3ページ書く
- 起きてすぐ書く
- 書き始めた8週間は読み返さない
私は根が真面目なので()基本的に教本に書かれていることは忠実に守りたいタイプだ。
同じくせっかく始めるのなら基本通りに、と思う方も多いだろう。ここらへんの約束事について補足する。
B5サイズがしっくりきている
基本通りにやりたいと言いながら、モーニングノートに使うノートは初めからB5サイズだった。使い慣れているというのもあるし、A4って地味に大きいのだ。
しかし慣れてみるとA4でも余裕でありだなと思う。むしろ個人的な感覚でいうと、B5サイズよりも小さいサイズはあまりおすすめしない。
のびのびと吐き出して書ける大きさ、というのは欲しい。
(とはいえ、自分がしっくりくるサイズでやってみるのがいちばんだと思う)
すっかりモーニングページ用に定着したお気に入りのノート。毎回自分で撮った風景写真を表紙に貼り付けている。
とにかくつるつるとした紙質でなめらかな書き心地。言葉のとおり、流れるようにさらさらと書ける。ページ数が多く買い換え頻度をおさえられるのも決め手だ。
1日3ページ……じゃなくてもいいんかいっ
もう一度言おう。三ページの余白を埋めさえすれば、何を書いてもいいのだ。
『新版 ずっとやりたかったことを、やりなさい。』(サンマーク出版)
『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』では、口を酸っぱくといっていいほど「1日3ページ書く」ことを基本としていた。
しかしその後出版された『新版 いくつになっても、「ずっとやりたかったこと」をやりなさい。』では、「目安は3ページだがこだわらなくていい」と書かれている。……いや3ページじゃなくていいんかいっ
とはツッコミつつ、この一文に出会う少し前から「B5サイズに毎日2ページ書く」スタイルに落ち着いていた。
気分で3ページのときもあるが、基本は見開きいっぱいに書くイメージだ。かける時間は15~25分くらい。
バタバタと動き出す前に書く
モーニングページは、起きてすぐに書けるほどいい。いっそベッドの中で寝ぼけまなこに書けるのが理想。
バタバタとした朝時間を乗り越え、ようやくひと息ついてから……というのはちょっと違う。頭がはっきりと働きだす前に書く。
最初は基本に忠実に、ベッドから出たらすぐにモーニングページを書いていた。……が、やっぱり起きたらまずは洗顔と歯磨きをしてスッキリしたい。
個人的な流れとしては、
お湯は猫舌なのでモーニングページが終わる頃にちょうど飲みごろになっている計算だ。
書き始めた8週間は読み返さない
これは「えっ、ダメなの?」と思った人のためにこそ必要なルールだと思う。
モーニングページは脳に溜まったモヤモヤを掃除することである。ということは、普通出したゴミをわざわざ覗きにいくだろうか?
吐き出された文章は正直な気持ちであり、光るものがないとも言えない。
しかしそれに出会うために書きはじめることがあっては本末転倒だし、そこには理性や考えることがしれっと紛れ込んでしまう。
慣れない最初のうちは「ただ書くために書く」感覚を優先して、どんなことを書いたのかは振り返らず、頭の中のごみを捨てる行為に集中したほうがいい。
先程狂気の初モーニングページをご覧にいれた通り、一応これまでのノートは全部保管してある。ときどき適当にノートを手にとってぱらぱらめくることはあるが、基本的にはそんなに読み返さない。
たまには少し前の自分が書いた文章に励まされたり癒されたりすることもある。でも、基本は朝向かう真っ白なページがいちばん好きかな。
「何でも書いていいが一番困る」を乗り越えて
何でも書いていいという自由度の高さは魅力であると同時に、初心者の中にはやや高めのハードルに感じる方もいるだろう。
でもやっぱり言えることといえば、正解はないし本当に「何でもいい」。
一応、『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』にあった参考になりそうな文章を引用しておく。
――一九九一年十月二日 起きると、頭痛がしたので、アスピリンを飲んだ。まだ震えが止まらないが、少しよくなった。風邪をひいたのかもしれない。荷解きはほとんどすんだのに、ローラからもらったティーポットがまだ見つからない。彼女がいなくてとても寂しい。心が痛む……。
『新版 ずっとやりたかったことを、やりなさい。』(サンマーク出版)
まずはやってみて、徐々に自分のスタイルを見つけていくのがいいだろう。
モーニングページを書く意味
何を書くか、に通じる部分だと思うのだが、継続歴5年目に突入して、ようやくモーニングページをやる意味が掴めてきた気がする。
たとえば、「毎日同じことの繰り返しでしんどい……」的なことを吐き出したとしよう。それは紛れもなく本心であり、正直な言葉だ。
モーニングページに吐き出したからといって、急に毎日が楽しくなるミラクルのようなスピリチュアル効果は絶対に、ない。
しかしモーニングページは、良くも悪くもずっと同じ場所に立ち続けることをよしとはしない。
毎日モーニングページを続けるとして、「毎日同じことの繰り返しでしんどい……」という言葉を1週間、1ヶ月と延々と吐きだし続けるほうが難しくなってくる、ということだ。
「ああしたらいい」「こうしたらいい」「あれをしてみたい」と、自然と一緒に吐き出されるひらめきがある。
大切なのは、考えて案を出すのとは違うということ。
あくまで自分の本心が「ああしたい」「こうしたい」と訴えかけてくる。『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』では、「内なる子ども(=創造性の源泉)」と擬人化されている存在だ。
もしもモーニングページに何かしらの効果があるのだとしたら、自分の素直な気持ちに耳を傾けられるようになることだろう。
ここまで読んでくれてありがとう!
モーニングページについて書いてきた。モーニングページという言葉に出会ったばかりの自分が知りたかったことを中心に、伝えたいことは書けたと思う。
ただ、ここまで読んでもらっておいて何だが、本当にモーニングページに興味があるなら、提唱者であるジュリア・キャメロンの本をぜひ読んでみてほしい。
この記事でも、モーニングページについてはおおよそのことは分かるように本気で書いたつもりだ。だけど、やっぱり本家に勝るものはないだろう。
検索すれば文章でも動画でも、いくらでも無料で情報が手に入る時代だ。しかしそれが本当に信頼できるかを見極めるのは難しい。
だからこそ本人の言葉で語られる本があるのなら、それ以上に参考になるものはないはずだ。